guides · Yomite Team

TTSが固有名詞を読み間違える問題を完全に解決する — 発音辞書の使い方

なろう・カクヨムの異世界名や著者造語をTTSが誤読して困っていませんか。発音辞書に登録するだけで、その本では永続的に正しい読みになります。具体的な手順と、よくある誤読パターンのサンプルリストも掲載。

TTSが固有名詞を読み間違える問題を完全に解決する — 発音辞書の使い方

TTSが固有名詞を読み間違える——これは、朗読アプリを使い始めた人がほぼ全員ぶつかる壁です。

異世界ファンタジーの主人公名「影廊アルス(えいろうアルス)」を「かげろうアルス」と読む。「星詠み(ほしよみ)」を「せいえい」と読む。「二つ名《ふたつな》」のルビを無視して「ふたつめい」と読む。

これは TTS エンジンの欠陥ではありません。現実の日本語コーパスには、異世界転生小説の著者造語はほとんど登場しません。モデルは現実的な確率で「よくある読み方」を選ぶため、創作固有名詞を誤読するのは構造上、避けられないのです。

ですが、解決策はあります。


なぜ TTS は固有名詞を誤読するのか

TTS(テキスト読み上げ)エンジンは、統計的な言語モデルに基づいて漢字の読みを選びます。同じ漢字列に複数の読みが存在する場合(「大和」→ やまと / だいわ / おおやまと)、コンテキストと確率で最もありそうな読みを選択します。

問題が起きるのは以下のケースです。

1. 著者造語・当て字 「竜穿大剣(りゅうせんたいけん)」のような造語は、コーパスに存在しないため、エンジンは構成要素を個別に解釈して誤読します。

2. ルビが機能しない 青空文庫形式や一部の Web 小説では 黒猫《くろねこ》 の形式でルビが振られています。Yomite はこの記法を自動認識してルビ優先で読みます。しかし独自形式や HTML タグ由来のルビは認識されないことがあります。

3. 人名の特殊読み 「桐嶋柊也(きりしましゅうや)」の「柊(しゅう)」など、人名特有の訓読みは一般辞書に優先登録されていないことがあります。

4. 作品固有のシステム用語 「スキル」「ステータス」などは問題ありませんが、作品が独自に設定した「概念(がいねん)」をカタカナ外来語的に「コンセプト」と読ませるようなケースは、どのエンジンも誤読します。


Yomite の発音辞書:仕組みと設定方法

Yomite には本ごとの発音辞書が搭載されています。一度登録すれば、その本の中で該当する表記が出るたびに、登録した読みで朗読されます。別の本では独立した辞書が使われるため、「この作品だけ特殊読みにする」という使い方が可能です。

ステップ 1 — 発音辞書を開く

読みたい本のライブラリ画面を開きます。

  • 本のサムネイルを長押し → 「発音辞書」 を選択
  • または再生画面の右上メニュー(…)→ 「発音辞書」

ステップ 2 — 新しい登録を追加する

「+ 追加」 をタップします。2つのフィールドが現れます。

フィールド入力内容
表記小説に書かれている文字列影廊
読み正しい読みをひらがなでえいろう

登録後、「保存」 をタップ。これだけです。

ステップ 3 — 動作を確認する

朗読を再生して、誤読されていた箇所が正しく読まれることを確認します。確認は巻き戻しボタンで同じ箇所に戻るだけで行えます。


よくある誤読パターンと修正例

以下は、なろう系・異世界ファンタジー作品で頻出する誤読パターンです。自分の作品に合わせて参考にしてください。

人名

表記デフォルト誤読正しい読み
朱雀しゅじゃくすざく
玄武げんぶげんぶ(これは正しいことが多い)
夜叉やしゃやしゃ(正しいことが多い)
刹那せつな(人名以外に誤用)せつな
蒼依あおい / そうい(揺れる)作品の読みで登録
黎明れいめいれいめい(正しいことが多い)
一護いちご(人名読みが難しい)いちご(作品依存)

世界設定用語

表記デフォルト誤読例正しい読み(例)
魔素まそ作品依存(まそ / まりょく系)
概念がいねん(一般語)がいねん(通常は合っている)
神代しんだい / かみしろ作品で決まっている場合は登録
龍脈りゅうみゃくりゅうみゃく(通常合う)
星屑ほしくず / せいさい作品の読みで登録
暗黒大陸あんこくたいりくあんこくたいりく(大抵合う)

ルビ付き表記(自動認識されない場合)

Yomite は 黒猫《くろねこ》 形式のルビを自動認識しますが、サイトや EPUB によっては別形式(例:黒猫(くろねこ) や HTML の <ruby> タグ崩れ)になっている場合があります。自動認識されていないと感じたら、発音辞書に手動登録してください。


一括登録:長編を聴き始める前にまとめてセットする

長編作品(100話以上)を聴き始めるときは、第1話を再生しながら登場人物リストを確認し、主要キャラクターの名前を先にまとめて登録するのがおすすめです。

手順:

  1. 作品の「登場人物」ページ(なろう・カクヨムなら序章またはあとがきに記載)を開く
  2. 主要キャラクターの名前と読みを発音辞書に一気に登録
  3. 第1話から再生スタート

これをするだけで、1話から正しいキャスティングで聴けます。作品に入り込むスピードが格段に上がります。


発音辞書の有効範囲

  • 本ごとに独立 — A という作品の辞書は B には影響しません
  • シリーズ対応のヒント — シリーズ作品(1巻、2巻…)は本ごとに辞書が分かれます。1巻で作った辞書を2巻にコピーする機能はないため、シリーズ1冊目で正しい読みを確認したら、次巻の開始前に同じ登録を追加してください
  • 辞書のエクスポート — 現バージョンでは辞書のエクスポート/インポートは未対応です(機能追加を検討中)。登録数が多い場合は、メモアプリに表記・読みのペアを控えておくと次巻での再登録が楽になります

まとめ:1分の作業で没入感が変わる

TTS の固有名詞誤読は、慣れてしまうと「そういうもの」として聴き流せてしまいますが、一度正しい読みで聴くと戻れなくなります。

発音辞書への登録は 1 件あたり 30 秒かかりません。物語に入る前の 3〜5 分で主要キャラの名前を登録しておくだけで、その後の 10 時間の朗読体験が別物になります。

長編作品を読む前にぜひ試してみてください。


読み手 Yomite を App Store で入手する →

関連記事:青空文庫を音声で読む完全ガイド · Web小説をインポートして聴く

ご意見・ご要望は [email protected] まで。

— Yomite Team